社長に読んでもらいたいビジネス書15冊

社長ほど積極的に勉強をし続けなければいけないポジションもなかなかありません。やるべきことは決して多い訳ではありませんが、ビジョンの立て方、組織の作り方、ファイナンシャルモデルの組み立て方なんて、誰も教えてはくれませんし、そもそも最初はそんなスキルが必要だということもわかりません。私も何年も、何を学ぶべきかすら理解できず、ただがむしゃらにビジネス本を読んでいたと思います。社長としてはまだ学びが足りませんが、ここまでで確実に役に立った15冊を紹介します。


組織の強さは従業員のモチベーションに大きく左右されます。特に私達のようなエージェンシーの場合、強いチームワークは不可欠ですし、全員が同じ方向を向いていないと高いレベルでの仕事ができません。『OQ』では、組織に対する高いロイヤルティである「オーナーシップ」を育むために、経営者は「強く共感できる企業理念や価値観を戦略的に定義すべき」としています。この組織の基板となる「ストラテジック・バリュー・ビジョン」について、真剣に考えることこそ、経営者の最も重要な仕事だと思います。

P&Gのリーダーシップを務めた35人が、様々なビジネスのチャレンジを乗り越えるエピソードが紹介されています。全てに共通することはその戦略的な理念を通じて正しい判断を行ってきたということ。P&Gという177年も続く企業にとって、理念こそが最も重要な指針であり、日常の業務に行う上でどれだけ大切であるかを教えてくれます。



企業の飛躍的な成長を左右するのは経営者のリーダーシップである。そんな当たり前のことを厳しく教えてくれる一冊です。会社の成長を可能にするためにどのようなスキル、フォーカス、人間性が必要であるかを理解させてくれます。会社を変える前に、先ずは自分がどのようなリーダーであるべきかを考えさせてくれます。




未だ翻訳版はありませんが、私が今までに最も強烈な影響を受けた一冊です。英語で読める方には是非お勧めします。アレックスという小さなエージェンシーの経営者が、自転車操業の状態から、会社を仕組み化し、ビジネスを軌道に乗せ、売却するというフィクションです。「何でも屋」だったエージェンシーの業務をフォーカスさせ、プロセス化を通じて品質を大きく向上させる部分がとても参考になりました。


多くのスモールビジネスの経営者は、自らがプレーヤーとして働き、「経営」を怠っています。この本は7つのステップで、自分のビジネスに対して客観的な視点を持ち、その方向性をコントロールする力を与えてくれます。特に参考になった部分は、ビジネスをブレイクダウンし、管理するということ。例えば私達の場合は「売上」「外注費」「人件費」「粗利益」をコントロールするために「クライアント数」「プロジェクト数」「外注比率」「賃金」など管理が必要であることがわかります。この大まかなビジネスの分解と、因果関係の理解がなければ経営はできません。先日、書店でこの本を見つけましたが、まさにこんなアウトプットを作っていました。

もう一つ、とても参考になったのが組織の作り方です。先ず理想の組織図を描き、人がいないポジションに全て自分を配置します。次に責任範囲と業務内容を定義し、可能なタイミングで譲渡をしていきます。私もまだたくさんのポジションを兼任していますが、全てできるだけ早いタイミングで部下に譲渡する前提です。

多くのポジションを兼任しなければいけない社長にとって、自分のモチベーション維持はとても重要です。最初はGTDなどのタスク管理の本もこのリストに加えようと思いましたが、メンタルが伴わなければスキルは役に立ちません。単なる気合ではなく、ロジカルな思考を通じて、何も先延ばしにせず、重要なプロジェクトを確実に推進できるようになりましょう。



才能というものは先天的なものとして捉えがちですが、努力と戦略的な学習を通じて開発が可能なものです。人間は、特定の行動や思考を繰り返すことで、脳内のニューロンが、髄鞘という資質によって束ねられ、神経伝達の速度を早まります。才能は、この髄鞘の量に左右されるため、その開発には高頻度な反復行動が必要になります。仕事をフレームワークやプロセスに沿って、繰り返し実行することや、短いリードタイムのプロジェクトをより多く実施することが確実にスキルの向上につながるのです。人材の育成を行う上で、とても重要なポイントです。この本ではありませんが、同じ「才能」のトピックで和訳されているダニエル・コイルの書籍もあります。

従業員のパフォーマンスを引き出すためには、業務に主体性を持たせる必要があります。そのためには結果に関係の無い「出勤時間」などを評価してはいけません。ベストバイで採用されたROWE(完全結果志向の職場環境)という経営戦略では、授業員に完全な勤務時間や場所の自由を与えました。会社が従業員を信頼し、結果のみを評価することで、モチベーションと業務効率を大きく改善させています。もちろん、従来の経営スタイルとは大きく異なるため、様々な否定的な指摘も受け、ベストバイでも理解力の無いCEOによって廃止されてしまいました。かなり極端な事例ではありますが、大切なのは規律を保ちつつ、最大限の自由と権限を従業員に与えることだと思います。

最適な人材を見つけ、採用するために必要なスキルを紹介してくれます。単にプレゼンテーションが上手な人材と、実際に優れた業務スキルを持つ人材を見分けること。優れた人材が魅力的だと感じる独自の成長機会やチャレンジをアピールすること。面接では自分を賢く見せる質問ではなく、相手の過去の実際の仕事について深く掘り下げることで、候補の実力を正確に理解すること。他にも多くの候補に効果的にリーチする方法や、求人広告の書き方など、リクルーティングに役立つたくさんのハウツーが紹介されています。

パフォーマンスの高い組織を作るためのマニュアルです。12のステップで基本的なタイムマネジメントから、従業員のマインドセットの変え方、定例ミーティングの実施方法、一流の人材の獲得方法、セールスやクライアントへのフォローアップ、マイクロゴールの設定と効果測定など、様々なアングルから組織の強化に必要なアクションを説明してくれます。経営の実用書としては最も参考になる一冊だと思います。


セールスフォース・ドットコムの営業担当者が非効率だった社内のセールスプロセスを改革し、ビジネスを飛躍的に成長させたという話。最も重要なポイントはリード・ジェネレーション、リード・クオリフィケーション、リード・ナーチャリング、クロージングの業務を分け、それぞれを最適化したことです。無駄なリードを精査し、追求しないことで、リソースの消耗を防ぐ、クオリフィケーションのステップは特に参考になりました。


最も効果的なセールス手法は信頼されている知人からの「紹介」です。この本もフィクションではありますが、セールス担当者が知人の紹介を通じて、必要なタイミングで、確実に仕事を獲得することができるリード・ナーチャリングのプロセスが紹介されています。





脳科学と心理学の視点から、相手が断ることができないプレゼンテーションの方法がまとめられています。少し難しいですが、繰り返し練習することで、確実に交渉で有意的なポジションを獲得し、相手の警戒心を解き、興味を獲得し、クロージングができるようになります。





『エクセレント・カンパニー』『7つの習慣』『経営者の条件』『人を動かす』『トヨタ生産方式』『リーダーになる』『イノベーションのジレンマ』『ティッピング・ポイント』など、著名なビジネス書、100冊ののサマリーがまとまっています。実際の書籍を読まなくても、エッセンスはまとめられていますし、何より読むべき本の良い指針となります。




最後に紹介するのは、大手会計会社のCEO、ユージーン・オケリー氏の末期がんの闘病記です。この本はビジネス書ではないですが、彼の「Move it up」という言葉から、時間という資源の有限性と、想定外の事態に備え、ゴールを早めに設定することの重要性を学びました。宣告された3ヶ月半の余命を過ごす間に変化する彼の考え方や、死に直面しながらも時間をしっかりと管理する姿勢が衝撃的な一冊です。