≪ WEBプロモーションで実店舗の売り上げを上げる方法 | ブックマーク・オブ・ザ・イヤー2008 - AnotherBookmark ≫
December 18, 2008 7:59 AM
今月はたくさんのWEBデザイナー、ディレクターの方々とお話をする機会がありました。その中でよく「何故、FICCはWEBプロモーションエージェンシーになったのか?」という事を聞かれました。僕自身、撮影のアートディレクションから仕事を始め、FLASHコンテンツの制作を行っていた人間です。ここに来て「SEO」や「CRM」、「ROI」、「販売促進」と言っていることに若干の違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。考えがクリエイティブ寄りからマーケティング寄りになったからと言う単純な事ではなく、ここ数年の色々な人や書籍との出会いから、WEBデザインという仕事に対して、より本質的な見方が出来るようになった結果だと思っています。2008年はあまりにたくさんの変化や新しい事を学ぶチャンスに恵まれました。このエントリーではFICCがWEBプロモーションエージェンシーとして本格的に動き始めた一年で考えた事をまとめたいと思います。
■伝わるコミュニケーションを目指す
自身でFLASHコンテンツの制作を行っていたとき、一番疑問に感じていたのは実際の消費者にそのメッセージが届いているかという事でした。当時私の周りでWEBに関わっていない人がパソコンを使う理由はメールと書類管理程度。もちろんFLASHのWEBサイトを見ている人など極めて少なく、一般まで浸透していないメディアだと認識しながら仕事をしていました。しかし奇抜なFLASHサイトほど多くのトラフィックを獲得し、WEBに詳しい一部のユーザーからは高い認知度を獲得できました。
・一般ユーザーの流入
2003年頃、その仕組みに大きな変化を感じました。ブログ、ネットショッピング、口コミサイト、SNSが一般化し、今までWEBに興味の無かった人達が大量に流入してきました。急激に一般消費者に浸透した事でWEBに対する企業の投資も本格化しました。コンピューターに対するリテラシーが低いユーザーが急激にWEBに対するリテラシーを高めたのです。これによって、WEB制作のルールも大幅に変わりました。WEBサイトは「少数のリテラシーの高いユーザーに伝わればいい」というものから、「大多数のリテラシーの低いユーザーに伝わらなければいけない」ものになりました。ちょうどその時期、WEB2.0というバズワードがこの大きな変化を正確に認識しにくいものにしてしまったのかもしれません。
・コンタクトの量
いくらWEB全体のトラフィックが増えたとはいえ、現在でも企業のWEBサイトのリーチは他の広告媒体に量的に勝るものではありません。コンタクト(接触)できる量(人数)で言えばまずTVが圧倒的な影響力を持ちます。WEBサイトを広告目的で作っても、接触できる人数はラジオ?雑誌程度が限界でしょう。しかし、WEB制作のプロセスは毎年複雑化し、その製作コストは他の広告に比べ割高になっています。もちろん、WEBサイト自身に集客の仕組みが無ければ更に媒体費がかかります。私は「広告」という考え方でWEBを作っていくには費用対効果の面で無理があると感じるようになりました。
・コンタクトの質
量で勝てないのであれば質を上げ、一回のコンタクトにかかる単価を下げれば良いと考えました。そして、検索エンジンからの流入、特にブランド・製品名等とは関係の無いニーズからの検索を重視しました。SEOという技術的な内容を仕事にしたかったわけではなく、「売りたい製品やサービスに対してたくさんの新規顧客との接触機会を実現する」ことに注力しました。何も難しい事では無く、WEB上で提供されるツールから検索されるキーワードとそのボリュームを調べ、そのキーワードに沿ったページを作るだけです。これによってユーザーの個別のニーズに応えるウェブサイトが出来上がります。同じメッセージを全員に対して送る広告ではなく、一人一人に対して営業を行うセールスマンのように。WEBサイトはコンタクトの質をあげる事で、その量がラジオ?雑誌程度でもOne to Oneマーケティングが可能になると気づきました。更に、一度接触した消費者から好みを聞いておけば、その人が欲しいと思う情報を提供できます。WEBを活用したマーケティングを行うには「広告」という考え方を捨てる必要がありました。
・消費者を巻き込む
2007?2008年はブログプロモーションの年だったと言っても良いでしょう。ブログパーツを通じたプロモーションやペイパーポストという新しい媒体が大流行しました。消費者に直接語りかける事ができ、広告とダイレクトマーケティングの要素を両方含んでいた為に、「伝わる」媒体だと感じられたのでしょう。「CGMを活かしたバズ・プロモーション」という考え方はまだまだ量、質、コスト的にも発展途上にあると思いますが、「ブログプロモーション」はちょっとやりすぎなくらいたくさんの企業によって行われました(売りやすかったのでしょう...)。情報の信頼性の低下や、企業の口コミ意外の目的での利用など、色々とネガティブな印象も残しました。しかし、WEBプロモーションに新しいバリューを与えたことは否めません。また、企業が「消費者とのダイレクトマーケティング」を大きく見直すきっかけにもなりました。消費者を巻き込む形は広告、CGM、口コミサイト、モバイルなどを組み合わせる形でより複雑化します。その中心にあるのはユーザーの属性と個人情報です。2009年はCRM業界が大きく飛躍する年になると思います。
■減少する広告と増加する販促
WEBに対する消費者の流れや業界の矛盾を感じ、WEBプロモーションへとシフトするべきだと思っていたわけですが、決定打は業界の規模でした。大体どの企業でも販売促進費が広告費を上回っています。「売る」ための仕事は「広告」のための仕事よりも多いのです。自身で商売をやってみればわかることですが、重要なのは「売る」事です。イメージが良いに越した事はありませんが、売れなければ元も子もありません。そして現在の経済危機に至ります。今後広告と販促のバランスは極端なものになっていくでしょう。
・日本はもともとブランドではなくメーカーの国
日本の企業の大半はメーカーです。ブランドを作り上げる独自性やフォーカスを大量の「広告」で補ってきました。もちろん、これは広告代理店がクライアント同士を競わせ、作り上げた仕組みです。企業はお互いと戦う為に製品力を高め、広告費を投下します。日本のメーカーは広告費と製品力で「小さなブランド」を締め出しているのです。しかし、時々全く新しい特徴や「売り」を持った製品が爆発的に流行することがあります。これはその業界に独自性の強いブランドが少なく、広告でカバーしていたはずの顧客との接触機会に穴がある証拠です。WEBでは大企業も、小さな会社も、個人も平等です。WEB上での顧客との接触機会は媒体費だけでは手に入れる事ができないことに気づき始めた企業は最近になってやっと本格的にWEBへの投資を始めました。変わりつつあるルールに対応できる企業こそが今後はブランドになって行くのかもしれません。
・消費者が情報を持ち、比較の時代へ
先程2003年以降にたくさんの消費者が流入したと書きました。これにより、一般消費者にたくさんの情報も提供されました。今では消費者側が専門店の店員より製品・サービスに対する知識を持っている事は決して珍しい事ではありません。若ければ若いほどたくさんの情報にアクセスをしています。若い消費者は何かを購入する前に全ての選択肢を比較し、最もニーズにマッチしたものを購入するようになったのです。現在では比較対象にさえなることが出来れば、評判とコストパフォーマンスだけで購買動機に繋がります。広告の出番はそれを「確認」することだけに留まり、WEB上の情報をいかにコントロールし、潜在顧客に届けるかが売り上げを左右するようになります。
・不況、ROIを求めるクライアント
クライアント側のリテラシーも大幅に向上しています。効果測定を行う事が出来ない媒体に出稿したところで担当をする人は成績を上げることはできません。この数年間でたくさんの企業に広告の効果測定というニーズが生まれています。しかもインプレッションやPVではなく、実際に購買に影響したリアルな数字が求められます。不況が厳しさを増せば、企業は発注の基準としてROIを強く求めるようになります。
WEBプロモーションへのシフトは私にとってとても自然なものでした。しかし、数年後には消費者に購買意思を持たせるWEBプロモーションの仕組みはたくさんの会社によって確立されていると思います。その中で差別化を行うためには絶対的な「クリエイティブの質」が必要になります。消費者を魅了するアートワークを生み出すスキルは今後重要性を増して行きます。
http://www.ficc.jp/cgi-bin/mt4/mt-tb.cgi/98
Comments and Trackbacks