≪ February 2009 | April 2009 ≫
March 30, 2009 2:50 PM
日本には海外に本社を置く多くの外資系ブランドのウェブサイトがあります。ヨーロッパ等に本社を置く企業の場合、本社のWebに対するリテラシーが低く、コントロールが大変厳しいため、Webサイトを活用したプロモーションや販売が難しい現状が多くあります。FICCではそのような外資系企業の日本支社とお仕事をさせていただく事が非常に多く、本社の説得を行い、日本独自のWeb戦略を確立させて頂いています。しかし、ブランドとしてデザインやWeb戦略の統一を図る事はデザイン・開発コストの削減や、ナレッジの共有、イメージのコントロールなど、さまざまなメリットがあります。そんなグローバルなWebデザインを展開し、成功させたブランドの一つにティファニーがあります。
・検索ニーズに応えるブランドサイト
WEBサイト(特に米国版)を訪れるとわかるのですが、項目が購買目的や金額などユーザーのニーズにマッチしたものになっています。もちろん、日本でも良いキーワードに対し高い検索順位を獲得しています。(例:「女性へのギフト」)クリスマスシーズン中は日本のサイトでもギフトの金額カテゴリーを掲載していました。一般名詞を使い、ユーザーの検索ニーズに応えることは当たり前な感じもしますが、外資系ブランドのサイトでその当たり前ができているサイトは大変少ないです。競合の多いラグジュアリーブランドの世界でニーズにマッチし、新規顧客を獲得する事は大きなアドバンテージになります。
ティファニーはブランド自体の検索も非常に多く、自社の製品を求めるユーザーだけでもECで十分にやっていけるブランドです。しかし、検索から新規顧客を獲得し、CRMを行う事で顧客層に更なる厚みを持たせることができ、ビジネスを成長させることができるのです。用語集まである点には大変関心しました。
その検索エンジンからの集客対策はCMSの活用による膨大なページ量、プロモーションによる大量の被リンク、オールドドメイン、適正なサイト登録、リスティング広告など抜かりの無いSEOに支えられています。しかし、このサイトの魅力はSEOだけではありません。
・ユーザー導線を支えるディテール
高額商品を購入する際、ユーザーはサイトを一度離脱します。AISASのS(サーチ)とA(アクション)の間に商品価値の「確認」(CONFIRM)、他ブランドとの「比較」(COMPARE)、決裁者との「相談」(CONSULT)が発生します。高額商品を扱うサイトを解析すると、購入や、問い合わせなどのアクションの前にコンテンツの閲覧が少ない事が分かります。これはユーザーが一度離脱し、購入に対し、検討していることになります。この離脱から再びサイトに戻ってきてもらうためにはメールやプリントアウト機能というリマインダが必要になります。ティファニーの商品詳細ページにはもちろんこの機能が含まれています。
その他にもデザインやJavascriptでの演出、ブランドらしいサイトでの表現を維持しつつ大量の情報を提供した設計など、たくさんの魅力をもったサイトです。あとは日本の検索ワードに合わせて翻訳を行っていればより良い集客ができたという点でしょうか。ティファニーのWebデザインについてはこのような本がありました。現在取り寄せ中ですが、tiffany.comの更なる魅力について知る事ができそうで楽しみです。
March 25, 2009 9:20 AM
ジュエリーのブランド(モーブッサン)がコスメブランド(シャンテカイユ)のメーリングリストへ旗艦店オープンの告知と割引のプロモーション。商品10%引きと$150相当のスパクーポンがもらえるそうです。導線の作り方次第ではもう少しうまくできそうですね。コスメを買った(又は来店した?)お客様にジュエリーの割引クーポンを贈るとか。ジュエリーブランド側にCRMにつなげる機会があればなお良いと思います。ジュエリーもファッションも苦しい時代ですから、コスメブランドに乗っかるのは賢い選択だと思います。
March 18, 2009 2:07 PM
パリでの撮影を終えました。フォトグラファーは前回と同様、ベン・ハセット。スタイリストはベンのパートナーでもあるジュリア・ヴォン・ボエム。ベンのフォトグラファーとしてのオールラウンドな才能は前回の撮影で十分わかっていたのですが、ジュリアもカリーン・ロイトフェルドのアシスタントを4年勤めただけあり、かなりの知識の宝庫。更にメイクはロイド・シモンズ、ヘアはオディール・ギルベールと全員がファッションフォトグラフィーの大ベテランです。そんなチームにロシア人のモデルやイタリア人のスタッフが加り、色々な言語が飛び交う撮影現場。シンプルなスタジオ撮影でしたが、非常に楽しい一日でした。
・言語力ではなく、伝える力
時間内に、皆のモティベーションをキープしつつ、テーマに沿った最高のアウトプットを引き出すこと。ディレクションはそんな仕事だと思っています。現場をまとめるために必要なのは言語力ではなく「伝える力」、コミュニケーション能力です。片言でも身振り手振りで伝わりますし、重要なことは相手を理解し、工夫をするという事だと思います。
撮影現場では即席の資料が大変役に立ちます。スタイリングをまとめた写真をあらかじめプリントアウトし、皆の考えをコラージュでまとめます。もちろんカンプも持参し、その場にあるファッション雑誌や、ネット上の資料も複数のノートで一覧できるようにします。撮影前に考えを視覚化し、まとめることで、全員が共通の目標に向かって仕事を開始することができるのです。もちろん、今回のように共通言語を持たないチームにとっては唯一のコミュニケーションツールにもなります。次の作業が始まる前に、どんな資料や情報があったら仕事がしやすいか。考えを資料として押し付けるのではなく、選択肢やクリエイティブの幅をキープしつつビジュアルな資料を通じて方向性を詳細に定めていきます。
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※左から撮影のコーディネートをしてくれたエルマーノ、オディール、そして日本の薬局コスメのおみやげに大喜びのジュリア。
・アーティストではなく、伝える人
撮影後の打ち上げ(La Sociéte 4 place Saint Germain des Prés 75006)にオディールとじっくり話す時間がありました。私からは母親くらい年の離れた彼女はファッションが最も面白かった時代にトップヘアスタイリストとして世界中のブランドの仕事を手がけました。最近はフランスからChevalier des Arts et Lettresを贈られるほどのお方。打ち上げのワインが2、3杯入ると彼女がシャネルを14年間も手掛け、今もなお世界中のトップフォトグラファーと仕事をし続けるための「違い」が何なのかという話をしてくれました。
これほどまでの経歴を持つ彼女は自身がアーティストではないと言い切ります。「アートは写真の中にしかない。それ以外はすべてただの仕事。」だそうです。彼女の仕事とはその手を使って世界観を「伝える」こと。自身はコミュニケーションのメディウムでしかないと言うのです。彼女のその謙虚なスタンスに加え、仕事の目的を本当に理解し、伝える、その「コミュニケーション能力」こそがトップアーティストとして長く活動できる秘訣なのだと感じました。
このコミュニケーションという言葉、もちろん双方向ですから、「表現する力」と同じくらい「理解する力」が必要な訳です。どんな仕事をしていても(特にWEBは)相手を理解する事が一番重要な事でしょう。そんな考えについてはまた今度。写真は一ヶ月後くらいに出来上がります。
March 17, 2009 8:54 PM
撮影は待ち時間が多いものです。今日もモデルのヘアメイクにざっと4時間。1枚目を撮り終える前に昼食の時間になってしまいます。待合で見ていたNumeroの100号が面白かったのでシェア。100号の特集はファッションデザイナーが編集長Babet Dijanにダブルページを贈るという企画。広告と混ざって自由なページがたくさんあって楽しい一冊です。
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GUCCIは100とモノグラムを組み合わせたStill Life
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John Gallianoはクリエイティブなワークを感じさせるコラージュ
March 15, 2009 7:09 PM
ソウルよりパリに到着し、時差ぼけで朝5時に目が覚めてしまいました。ヨーロッパの日曜日は何も開いておらず、する事がありません。パリには広告撮影の現場監督として来ている訳ですが、今日ばかりは機材の手配もできませんし、モデルの事務所も開いていません。ましてや今週はパリコレ後の初の日曜日。みなさん一ヶ月以上も休み無しで働いていたわけですから、私とのミーティングなんかいい迷惑です。
そんな朝は絶好の読書のチャンス。ホテルのレストランが予想以上にカッコよかったのでゆっくり2時間ほどかけて朝食を摂りながら、以前から気になっていたBebitさんのユーザビリティの本を読みました。ユーザビリティとはいっても話はディテールだけではなく、より広いスコープの話。詳しい内容は是非読んでほしいので書きませんが、自分なりに思ったことを少しだけ書かせていただきます。

・ユーザビリティテストと小規模サイトのパターン化の必要性
制作を行ううえでユーザーを理解することはクライアントのビジネスを理解する事と共に必要不可欠。しかし、リテラシーやニーズの異なるユーザーの心理を製作者が理解することは大変困難なことです。勘や経験則に頼らず、ウェブを起点としたユーザー体験(User Experience)全体をユーザー視点で設計するためには制作フローの中にプロトタイピングと実ユーザーの検証を取り入れる必要があります。小規模サイトの場合、正直生産性という面でユーザビリティテストを取り入れるのは困難な場合がほとんどです。しかし、キャンペーンものなどの小規模サイトはある程度パターン化をする事が可能だと思います。一つの案件でフルにユーザビリティ検証を行う事ができなければ、同じパターンのケースを積み重ね、検証していく事が重要でしょう。
・何がユーザーの常識を作っていくのか
ここ数年で一般ユーザーを対象とするユーザビリティテストの結果は徐々に変わってきたと思います。一般層に多くのWEBサービスが受け入れられ、WEBのリテラシーが向上するにつれ、WEBサイトの操作性に対する「常識」というものが生まれます。誰が決めたわけではないのにユーザーはWEB全般に対し「こうあるべきだ」と思う訳です。標準化されたルールは無く、より多くのユーザーを獲得したサービスが持つインターフェースが当たり前のものになって行きます。もちろん、その優れたデザイン性から選ばれるUIもありますが、どちらかというとサービスの内容がその「常識」を作るのではないかと思います。
その他、ユーザーニーズとビジネスニーズをマッチングさせ、バランスをとる要件定義の方法や、他メディア、チャネルを含んだ総合的なユーザー体験の設計方法、ユーザー心理を目的に合わせて変化させるコンテンツの考え方など色々な知識がまとまっています。良書です、是非読んでみてください。
その後、少し散歩をしたのですが、やはり何も開いていません...見れるものといえば閉じたお店のディスプレイくらい。下の写真はお求め安い価格の子供服で有名なプチバトー。大人の写真をランダムに並べて名前と月例(年齢ではなく)を記載ししています。二十歳の男性は「サイモン、240ヶ月」と表記されていますね。もう一枚の写真は昔から変わらないJEAN PATOUのディスプレイ(前にも書いたかもしれません)。一枚のアクリルを切っただけのシンプルな物ですが、とても好きなウィンドウです。