Numero 100 | ChantecailleとMauboussinのコラボキャンペーン

撮影ディレクションとコミュニケーション能力

March 18, 2009 2:07 PM

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パリでの撮影を終えました。フォトグラファーは前回と同様、ベン・ハセット。スタイリストはベンのパートナーでもあるジュリア・ヴォン・ボエム。ベンのフォトグラファーとしてのオールラウンドな才能は前回の撮影で十分わかっていたのですが、ジュリアもカリーン・ロイトフェルドのアシスタントを4年勤めただけあり、かなりの知識の宝庫。更にメイクはロイド・シモンズ、ヘアはオディール・ギルベールと全員がファッションフォトグラフィーの大ベテランです。そんなチームにロシア人のモデルやイタリア人のスタッフが加り、色々な言語が飛び交う撮影現場。シンプルなスタジオ撮影でしたが、非常に楽しい一日でした。

・言語力ではなく、伝える力
時間内に、皆のモティベーションをキープしつつ、テーマに沿った最高のアウトプットを引き出すこと。ディレクションはそんな仕事だと思っています。現場をまとめるために必要なのは言語力ではなく「伝える力」、コミュニケーション能力です。片言でも身振り手振りで伝わりますし、重要なことは相手を理解し、工夫をするという事だと思います。

撮影現場では即席の資料が大変役に立ちます。スタイリングをまとめた写真をあらかじめプリントアウトし、皆の考えをコラージュでまとめます。もちろんカンプも持参し、その場にあるファッション雑誌や、ネット上の資料も複数のノートで一覧できるようにします。撮影前に考えを視覚化し、まとめることで、全員が共通の目標に向かって仕事を開始することができるのです。もちろん、今回のように共通言語を持たないチームにとっては唯一のコミュニケーションツールにもなります。次の作業が始まる前に、どんな資料や情報があったら仕事がしやすいか。考えを資料として押し付けるのではなく、選択肢やクリエイティブの幅をキープしつつビジュアルな資料を通じて方向性を詳細に定めていきます。

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※左から撮影のコーディネートをしてくれたエルマーノ、オディール、そして日本の薬局コスメのおみやげに大喜びのジュリア。

・アーティストではなく、伝える人
撮影後の打ち上げ(La Sociéte 4 place Saint Germain des Prés 75006)にオディールとじっくり話す時間がありました。私からは母親くらい年の離れた彼女はファッションが最も面白かった時代にトップヘアスタイリストとして世界中のブランドの仕事を手がけました。最近はフランスからChevalier des Arts et Lettresを贈られるほどのお方。打ち上げのワインが2、3杯入ると彼女がシャネルを14年間も手掛け、今もなお世界中のトップフォトグラファーと仕事をし続けるための「違い」が何なのかという話をしてくれました。

これほどまでの経歴を持つ彼女は自身がアーティストではないと言い切ります。「アートは写真の中にしかない。それ以外はすべてただの仕事。」だそうです。彼女の仕事とはその手を使って世界観を「伝える」こと。自身はコミュニケーションのメディウムでしかないと言うのです。彼女のその謙虚なスタンスに加え、仕事の目的を本当に理解し、伝える、その「コミュニケーション能力」こそがトップアーティストとして長く活動できる秘訣なのだと感じました。

このコミュニケーションという言葉、もちろん双方向ですから、「表現する力」と同じくらい「理解する力」が必要な訳です。どんな仕事をしていても(特にWEBは)相手を理解する事が一番重要な事でしょう。そんな考えについてはまた今度。写真は一ヶ月後くらいに出来上がります。

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FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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