March 2009 | May 2009

ネット(WEB)への過剰な期待

April 28, 2009 5:37 PM

少し前に広告のCDをやっている方とお話をさせて頂きました。私は広告の仕事をやる事が少ないので、第一線で活躍して方がWEBに対してどんな意識を持っているのかは興味がありました。一時間ほどのお話の中で印象に残った言葉は「ネットへの過剰な期待」でした。クライアントも、広告代理店も、マス広告の限界を感じ、ネット(WEB)に過剰な期待を寄せているとの事です。しかし、WEBは情報の発信という意味ではマス広告に比べて極めて非力です。確かにWEBで山火事のように情報が広まる事もありますが、その起点には必ずと言っていいほど他のメディア(大体テレビ)が存在します。多くの場合、代理店や広告主にとってWEBの魅力は理解できる効果ではなく、低いコストとプレゼンテーションのし易さなのかもしれません。

・WEBってこんなもの


そんな話をしているといつも↑↑このスライド↑↑を思い出します。発信するメディアとしては雑誌にも及ばない事が多い。そんなWEBにTVCMのような"ダイナミズム"を期待されても正直厳しいのです。しかし、このスライドにあるとおり、やり方次第でコミュニケーションのクオリティはセールストークに匹敵します。ニーズを持った消費者を見つけ出し、数万人に対して個々に営業をかけることがWEBの一つの力なのではないでしょうか?

・需要と最適化
WEBの仕事は需要ありきだと思います。直接的なニーズが無い場合は間接的なものを見つけ出し、活用します。マス広告のように新しい需要を作り出す事はあまりありませんが、ニーズさえあれば顧客を簡単に見つけ出す事ができます。元々買うであろう人に、欲しい商品を提供する。あまり面白く聞こえないかもしれませんが、効率的なこのプロセス(広がりも含め)をいかに最適化するかがWEBのマーケティングであり、プロモーション方法だと思います。最近ではデジタルサイネージやFelica等を活用し、売り場からモバイルへと引き込むような「売場やパッケージのメディア化」も進んでおり、消費者の購買行動は更に複雑化しています。仕組みの面白さはもちろんですが、広告の投資はより費用対効果の高いオルタナティブに流れるのが当たり前。しばらくは広告効果の最適化に向かって極端に市場が動いていくと感じています。

・マス広告との共存・相乗効果
しかし、WEBがマス広告に置き換わる事はありません。現時点では両方とも購買動機付けの中で重要な役割を果たしています。マス広告が大量の購買に不可欠なのは当たり前ですが、WEBも、購買プロセスの各段階での離脱を防ぎ、広告効果を測定・最適化するというもはや不可欠な機能を持ってます。しかし、オプトインという意味でもマス広告の助けを必要としないWEBプロモーションも多く存在します。そこに費用対効果を求めると自然と広告もマスから行動ターゲティングへとシフトして行きます。不況で大きく減少したマス広告ですが、行動ターゲティングという考え方がモバイルやOOH(最終的にはテレビ?)に溢れ始めると更なる減少に直面するでしょう。

・過剰な期待と安易な期待
マス広告の効果と需要が減少する中、WEBには何が期待されているのでしょう?今まで通りのやり方で需要を生み出せる新たなメディア?今まで通りに作れ、売れる広告商品?残念ながらその期待に応えられる事はありません。何故、従来の手法で打たれる広告の効果が減少し、今まで通りでは通用しなくなり始めたのか?それにはWEBがこの数年でどれほどの社会インフラとなり、一般消費者にどれだけの(企業発信でない)情報を与えたかを理解する必要があるでしょう。

WEBプロデュースに役立つ10の無料ツール

April 22, 2009 1:23 PM

かなり釣りエントリーっぽいタイトルですが、企画を作る際に使っているツールについて聞かれたのでまとめてみました。WEBはマス広告と違い、需要を作るのではなく、需要を受け止めるものだと思います。そのため、私はどんなWEBプロモーションの企画を作る時もニーズのリサーチから始めます。対象となる商品に直接的な需要が無ければ、違うニーズを探しますし、結果次第ではWEB以外の手法を勧めたりもします。知っている人にとっては当り前の内容ですが、使い方によってはコストをかけずにコンシューマーのニーズと競合のスキを知ることができ、企画・プレゼンテーションに役立つ有益なツール・サービスのリストです。

・Google キーワードツール
キーワードに対するGoogleでのおおよその月間検索数を知る事ができます。関連ワードも表示され、複数ワードが入力できるので有効なキーワードの絞り込みなどに使えます。言語や地域も設定できるので、海外の検索動向も知ることができます。また、特定のURLからページ内に含まれるキーワードを抽出する事も可能です。
https://adwords.google.co.jp/select/KeywordToolExternal

・Ferret-Plus
同様のツールですが、ニーズの調査だけでなく、キーワードからの検索上位サイト分析なども行えます。
http://ferret-plus.com/fkwsearch

・Overture スポンサードサーチ申込
ヤフーのリスティング入札ツールです。特定キーワードに対する関連キーワードを表示できます。一つのキーワードから該当するキーワードのリストを作りたい場合に活用しています。
http://ov.yahoo.co.jp/service/srch/choose.html

・Google Trends
キーワードの検索数の推移を表示、比較できます。キーワードに対する将来的な需要の予測に加え、マス広告やプロモーションの効果測定に役立ちます。
http://www.google.co.jp/trends

・Alexa
ウェブサイトへのトラフィック、ページビュー、平均ページビュー、離脱率、滞在時間、検索到達率が比較できます。
http://www.alexa.com/siteinfo/
※Alexa Sparkyというプラグインを入れているユーザーからの集計なのでターゲットユーザーによって結果が偏りがちです。

・Yahoo ブログ検索
特定のキーワードに対する評判が検索できます。
http://blog-search.yahoo.co.jp/

・Googleブログ検索
一番多くブログ記事を拾って来るブログ検索です。最新の物から表示されるので、実施中のプロモーションの反響や、競合企業のプロモーションを調査する時にとても役に立ちます。
http://blogsearch.google.co.jp/

・Technorati
登録されたブログのキーワード出現量の180日間の推移を見ることができます。
http://www.technorati.jp/

・kizasi
同じくキーワードの話題性を出現量の過去一年の推移として見ることができます。
http://kizasi.jp/

・SEOTools
特定サイトのSEO評価を様々な側面から知ることができます。
アクセスに対してはAlexaからのデータを使っています。
http://www.seotools.jp/

他にも良いのがあればコメントください。

プレゼンテーション

April 17, 2009 10:44 PM

・プレゼンとは何か?
最近の私の仕事は主にプレゼンです。企画やアイディア、優れたデザインや技術の価値を相手に理解してもらう事。プレゼンとは相手に何かを発見してもらい、前とは違った考え方をもってもらう事だと思います。そして、一人の発言に多くの人間が注意深く聞いてくれるとても貴重な機会です。プレゼンテーションで最も重要な事は考え方を相手に上手く届けることです。新しい考え方を受け入れてもらう為に私は4つのステップでプレゼンを構成しています。

・FACT (事実)
大体のプレゼンはソリューションの提案です。しかし、問題を理解していなければ相手がそのソリューションの価値を感じる事はできません。まずは問題点を理解できるよう、否定できない事実を相手にぶつけます。ここで提示する事実はキャッチとして、できるだけショッキングなものを用意しましょう。数値を使う事は効果的ですが、必ず数字が意味を持てるように比較できるものを用意するなどしてください。

・PERSUASION (説得)
問題に対する答えを言ってしまう前に、問題点の解決に向けたアプローチを相手に考えてもらいましょう。人間は他人から聞いた事よりも、自身で辿り着いた考えを重視します。後に伝えるソリューションへ自然と辿り着けるよう、資料と説明によってサポートします。説得中には相手にとって新しい事実、手法、技術などについても説明し、ソリューションに対する興味と期待を作り上げることが重要です。

・PROPOSAL (提案)
ここで初めて、ソリューションのスキーム(計画)を発表します。問題点の理解から、新しい情報を経て、ソリューションの考え方に納得をしてもらいます。相手は必要な知識を事前に得ているので、その効果についても納得ができるはずです。

・SUPPORT (サポート)
最後に更にソリューションの付加価値を高める情報や提案があれば付け加えます。相手が納得した考え方をより一層正しく感じてもらいます。サポートは必ず必要ではありませんが、質疑応答などに移る前のプレゼンの締めにはとても効果的です。

もし、プレゼンにコツがあるとすれば、資料をできるだけシンプルにし、説得や提案を話し言葉だけで行う事です。話す内容を全て書き込んだ資料は視角から理解するのに時間がかかり、話の説得力を低下させます。また、常にエンターテイニングである事も意識しましょう。プレゼン中にいくつかの笑いが取れれば、相手の集中力も持続します。最後にひたすら練習です。何度もプレゼンテーションを行うことで本番では資料を見たりする事なく、説得力のある話を直接相手に行うことができます。

今まで一番勉強になったのはジョブスのKeynote Addressでした。Appleのサイトでは未だにいくつかのプレゼンテーションが見れるので、参考にしてみると良いと思います。

site:www.apple.com steve jobs keynote

年代別インターネット利用

April 15, 2009 9:11 AM

最近の年代別のインターネット利用に対する調査結果を見ていると50代オーバーの男女も積極的にPCやケータイを通じてインターネットを利用していることが分かります。利用する時間に関しては50代でいったん落ちますが、リタイアをしている60才以上では増加します。もちろんリテラシーの差や、利用するサービスや機能は世代により大きく異なります。インターネットはテレビや雑誌等と違い、コンテンツによって利用量のセグメントがされるような媒体ではないので、個別のエイジグループの動向を掴むのは難しいでしょう。しかし、それは何らかの広告媒体とWebを組み合わせることでターゲティングが可能になります。例えば新聞広告はWebへのランディングに対して未だとても有効なツールです。新聞を隅から隅まで読む世代をターゲットする高額商品、特に金融商品などは新聞購読者というデータベースからのオプトインを軸にしても良いでしょう。

私たちが実施するWebプロモーションには時に70代の方々が参加される場合もあります。もはやプロモーションにインターネットを活用するという判断は対象の年代によって縛られる事はありません。今後は年代別の検索動向などに注目したいと思います。

経済危機で情報格差が深刻化? 所得・年齢でみるネット利用最新事情

広告代理店の赤字

April 14, 2009 6:24 PM

先週、電通が510億円の特別損失と、創業以来の赤字に転落する可能性を発表しました。そのうち377億円が仏ピュブリシスの株式評価損との事ですが、株価はそこまで大きな下落には見えません。むしろこの経済危機の中ではそこまで悪い下げ率では無いような気もします。その株を15%所有する事でそこまでの損失が出て、巨大広告代理店が赤字に転落してしまうのでしょうか?博報堂も利益100%減を発表しました。サカスへの引っ越しが理由として挙げられていた様ですが、引っ越しを知らなかった訳ではないでしょう...どちらにせよ、「本業の不振が理由では無い」という事にしなければいけないのだと思います。

消費者と一般企業の成熟による広告マーケットの縮小は不況によって急激に加速しました。スマートな消費が定着した今、消費が元に戻ることは無いでしょう。広告代理店もラグジュアリーブランドのように新しいビジネスモデルを(いくら小規模でも)模索しなければいけないのですね。

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ABOUT

FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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WEB DESIGN WORKSHOP 「正しいウェブデザイン」

デザイナーに向けたWEB雑誌、『WEB+DESIGN STAGE』にて、『WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」』を掲載執筆中。戦略的なウェブプロモーションのプロセスを紹介します。