≪ 日本では2013年にラグジュアリーブランドビジネスが破綻する | WEB業界にはミッションが足りない ≫
June 2, 2009 1:15 PM

現代人は誰でもストレスを抱えているし、何かに「ケチをつける」ことで自分の立場を正当化し、そのストレスを発散したがるのだと思います。インターネットはそんな人にとって格好のストレス発散の場なのかもしれません。色々な記事やソーシャルブックマークなどのコメントを見ても、アンチテーゼで自身の知識や経験を「主張」している書き込みが目立ちます。もちろん、私もその一人です。アンチテーゼをベースにブログ記事を書く事はとても多いです。特に、昨日のモーブッサンの一件は記事を書かずにはいられない気持ちでした。しかし、一夜経ってみればそこらじゅうにそんなモーブッサンの記事だらけ。相当批判的なものもいくつか見かけました。プロモーション方法を揶揄するもの、勝手に結果を決めつけるもの、内容は様々ですが大体が「批判」に乗っかった自身の知識の「主張」に過ぎません。
実際手法やオペレーションに批判が相次ぐ中、昨日のモーブッサンのプロモーションは評価されるべきなのでしょうか?私はされるべきだと思います。セッティングの発注が何件あったかはわかりませんが、ダイアの原価くらいは回収できたんじゃないでしょうか。また、メディア効果は誰もが見たとおり、絶大なものがありました。そして、批判を行っている方々は元々ターゲットではなく、モーブッサンのブランドイメージがそこまで傷付いたとも思えません。(露出が確保できれば回復のチャンスもあるでしょう。)ブランド側も並んでいただいた方々に顧客になってもらおうとは思っていないはずです。実際の顧客層に対しては強力なリマインダーとなったはずですし、たくさんの批判的な記事によってブランド名に対する広く強烈な印象を残しました。これが最初から計算されたネガティブキャンペーンだとは思えませんが、たくさんの方々がアンチテーゼを提示することでモーブッサンのPR効果に一役買ったことは確かです。
もちろん、PRの方々も予想されたネガティブなイメージに上手に対応(仕込み?)をしています。ニュースやワイドショーの中では「超富裕層市場向け」という位置づけをコミュニケートし、不況への強さをアピールしていました。また、数百万円の商品を紹介し、顧客層にはしっかりとしたキャンペーンとの差別化を提供しています。一般的な所得では「買えないブランド、という点は十分にアピールできています。確かにチープなプロモーション手法が嫌われるリスクも少しはあったとは思いますが、PRに自信があり、露出を優先したのでしょう。彼らは更に顧客へのダイレクトマーケティングをフォローアップとしてしっかりと行っている可能性もあります。メリットとデメリットを正しく比較検討できる勇気のある経営者はもう少し評価されてもいいのではないでしょうか。
ひとつ残念な点として、ブランドが一般消費者の興味を拾えなかった点があります。モーブッサンは各検索エンジンで昨日の急上昇キーワードの上位に入りました。しかし、肝心のウェブサイトはブランドのアイデンティティを伝える事が出来ていません。(アクセスもそこまで伸びていないでしょう)海外で制作・運用され、Googleでは検索結果にすら出てこない事は置いといて、ブランド情報が全く無いのです。下手なカバーフローのエフェクトで商品情報だけを表示するFLASHサイトでは新規顧客に接触してもブランドを理解してもらうことは不可能です。日本語の特設サイトは準備できなかったとしても、せめてELLEオンラインなど、何らかのWEB媒体でブランドについてのアドバトリアルを作るべきでした。残念ながら昨日ブランド名を検索した多くの消費者はモーブッサンの歴史や理念、商品に込められた想いを知ることはなく、騒動の記事を読むだけに終わってしまったことでしょう。
話は変わりますが、そんなアンチテーゼによって広がったキャンペーンの中で最近もっとも印象に残っているのは地デジカ。あの時もネガティブキャンペーン効果について書かずにはいられない気持ちでしたが、あまりに低俗だったので止めておきました。あの批判の嵐を広告費に換算するといくらになるのでしょうか?また、アナログマの登場やたくさんのゲリラ的なコンテンツによって発信されたメッセージは、地デジへの乗り換えの必要性を多くの人に伝えることに成功したんじゃないでしょうか?意図的かどうかは別として、ネガティブキャンペーンとしては大成功だと思います。
以前、このブログでも紹介したシューガーマンの本に効果的なネガティブ・キャンペーンのいい事例が紹介されていました。アメリカで男女平等やフェミニズムが叫ばれている時代、シュガーマンは一般的にあまり知られていない「スノーモービル」を扱う際に、クライアントであるリゾートホテルに「女性のスノーモービル乗車禁止」を発表させました。もちろん大炎上につながったわけですが、その結果スノーモービルは飛ぶように売れ始めたそうです。シュガーマンのように批判、怒り、アンチテーゼというような力を正しくバイラルに活用することができれば、非常に強いセールスコミュニケーションを行うことができるのではないでしょうか?
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