June 2009 | August 2009

コンテンツデザインからコミュニケーションデザインへ

July 29, 2009 9:17 AM

a0d42293.png

昨日、関橋英作さんのセミナー「既存のメディアは心を動かさない」に参加しました。内容はクリエイティブという仕事が単なるコンテンツのデザインからコミュニケーション自体のデザインにシフトしている(しなければいけない)という事。とても自然で楽しいトーンでしたが、日本の広告業界の今後に警鐘を鳴らす内容でした。私自身の視点から、セミナーの内容を少しまとめさせていただきます。

変わってきたカンヌ
カンヌは広告のクリエイティブコンテスト。メディアに乗せるコンテンツがどれだけ面白いか、という事を競う場です。しかし、そんなカンヌも最近変わりつつあり、メディアの新たな活用方法や話題性、実際に効果が認められた作品などが評価され始めました。評価のポイントが内容の面白さから、どのように社会に密接なつながりを生んだか、という方向へシフトし始めたのです。

広告は「個」告へ
インターネットの普及により、一般消費者はマスメディアに左右されない情報源を得ました。情報源としてのマスメディアの価値が大きく低下し、テレビ、新聞離れが進みます。個に対する娯楽が多様化し、様々なコミュニケーションツールの開発により、人と人の間のコミュニケーションが希薄化しました。家族単位ではなく個人単位の消費が経済を支え、複数台のパソコン、テレビなどから、子供を中心に「家族から個人への原子化」が進みます。

閉塞した「個」の社会
大半の日本人は同調性を重視する教育を受けています。他人の評価を常に意識し、孤立した若者は「便所飯」というような異常な現象にまで追い込まれ始めます。そんな社会の中で人々の価値観は変わります。つながりを求めたり、人の役にたちたいなど、精神的な充足を求めるようになりました。広告に携わる人間はこのような社会的な変化をいち早く感じ取り、新しく産まれる需要を満たさなければいけません。

メディア・ニュートラルから新たなメディアの創出
「個」の情緒に対し、広告は何をするべきでしょうか?もはやマスメディアの力は失われ、消費者のつながりを作る事はできません。技術的にどのようにメディアを選択し、彼らにコンタクトを試みるか、という話ではなく、メディア・ニュートラルに立ち返りましょう。改めて、その人に何をどうやって伝えれば効果的なのか、という根本的な点から考え直します。

人の周りは全てメディアになります。その人が接触するモノ、人、全てがメディアです。個にリーチできるメディアが存在しないのであれば作るまでです。新しいコミュニケーションをデザインするしかありません。

kitamail01.jpg

キットメールについて
受験キャンペーンを定期的に行ってきたネスレはその手法のルーティン化と受験マーケットのレッドオーシャン化に悩まされます。ターゲット層の広がりが進まず、コンビニなどの棚の確保に対する競争も激化していました。更に少子化や潜在受験生の減少によりシェアを守ることさえも困難な状況だったようです。

キットメールの最終的な目的は消費者に「好き」という特別な感情を持ってもらう事でした。商品は機能やアウェアネスの向上だけでは売れません。何らかの理由で「好き」と思ってもらわなければ買ってはもらえないのです。そこで第三者を通じたコミュニケーションを発信する事でブランドを好きになってもらうアイディアが生まれました。第三者の「応援」という気持ちを商品やブランドに重ねることで消費者に好意を抱かせるのです。

応援メッセージを添えて、チョコレートを箱ごと受験生に送る商品を開発し、全国20,000箇所の郵便局で販売を行いました。郵便局には民営化が騒がれていてメディア性があっただけでなく、受験生の親というターゲット層が日常的に訪れる場所でもあり、受験マーケティングを行う菓子製品の販売店としては全く競争が無い市場になりました。ブルーオーシャンを切り開いたキットメールは驚異的な販売数を記録し、郵便局での継続的な販売を実現します。商品に新たな付加価値を与えることで商品カテゴリーを見事に超える事ができたのです。

その他にも受験生が無料で乗れる「きっとサクラサクタクシー」や「サクラサクトレイン」、「サクラサク商店街」、価格に上乗せした10円を夕張市に寄付するコーズリレーテッドマーケティングなど様々な施策を通じてキットカットは「応援するブランド」として85%の受験生の親に認知されました。結果、顧客との長いサイクルでの接触が実現し、長期的かつ広い販売が実現した事は言うまでもありません。

時代にマッチしたプロモーション
手書きの手紙という人と人のつながりや温かみを思い出させるという戦略は、今の社会に見事にマッチしました。応援する側も、される側も精神的な充足感に満たされ、商品に好意を抱きます。公共のチャネルと消費者化のコミュニケーションをメディア化したことで、広告として受け取られる事は無く、「心を贈る」という人間の最も根本的なニーズに応える事が出来たのです。

キットメールの功績はカンヌのグランプリ、商品・販促・広告を融合した画期的な試み、53万件のブログ記事、驚異的な売上などたくさんあるでしょう。しかし、何より大きな功績は手書きのメッセージに励まされた学生と、メッセージを送る事で満たされた送り主たちへ与えた精神的な充足です。人と人とのコミュニケーションをデザインするという事は「何を伝える事で、何を感じてもらいたいか」という事から始まるのかもしれません。

WEBと口コミマーケティングをCSRに役立てる方法

July 26, 2009 1:44 PM

web_csr.jpg
WEBにはアフィリエイトやペイパーポストなど、企業の販促・広告費を口コミを行う消費者に分配する仕組みがいくつかあります。広告倫理的な問題を抱えながらもこのような手法はもはや企業のWEB戦略に欠かせないものとなりました。もう一つ、最近目立つようになってきたのがコーズリレーテッド・マーケティングです。商品の売上の一部を社会貢献活動に割り当てることでコーズに興味を持つ消費者に購買動機付けを行うというものです。しかし、未だに両方を組み合わせた事例はあまり見たことがありません。(dffさんのクリック募金ブログパーツくらいでしょうか?)消費者の口コミに対し、企業が費用を分配する代わりに「社会貢献活動を行う」というモデルは考えられないでしょうか?

チャリティー・パー・ポスト
まずは消費者がブログ記事を書く事で、企業がある一定量の社会貢献活動を行うというアイディアが浮かびます。一般的なペイパーポストは、一つの記事は600円から1300円というのが相場です。ユニセフによると「100円でできること」がこれだけあるそうです。これによると、1記事だけで最大91人分のポリオワクチンが購入できる計算になります。今まで企業は数千人のブロガーへの直接の振り込み等を要するペイパーポストを専門の業者抜きでは実施する事はできませんでした。しかし、記事数の集計と総額の募金だけであれば、独自に行うことも可能です。「あなたのブログ記事が○○人の命を救う」などというプロモーションがあれば、参加するブロガーは多いでしょう。そん集客・口コミ効果でけでなく、社会貢献活動はブライドスイッチや購買動機付けに大きく貢献します。通常の商用ペイパーポストと同じ費用で企業はより多くの利益を得ることができるのではないでしょうか?また、最初のうちはスキーム自体のPR的も期待できます。

チャリティー・バナー
ブログパーツのような感覚でバナーを配布し、その貼り付け日数(又は訪問セッション数)に対し、社会貢献活動を行うなどという事も考えられます。募金であればその金額などがライブで表示されてもよいでしょう。さらに消費者のブログ等にそこから発生した募金金額を個別に表示し、募金に紹介料などを上乗せするティアーシステムも考えられます。

ECやオンライン決済+アフィリエイトのコーズリレーテッドマーケティング
商材がEC又はオンライン申込で提供されていれば、販売だけでなく、アフィリエイトによるコーズリレーテッドマーケティングも成立します。継続的にユーザーから月額の固定費などを得られ、新規顧客獲得にある程度の予算を使える商品であれば取り組んでみても良いでしょう。

WEBの口コミマーケティングも、コーズリレーテッドマーケティングもまだまだ発展する可能性を持っています。企業の広告・販促活動の効率化の中でその組み合わせは自然と選択されるものになるでしょう。そして一時的に消費者の信頼を損なうまで発展するかもしれません。しかし、CSRや消費者とのダイレクトなコミュニケーションが企業の売上につながるということはWEBを使って証明していくべき事だと思います。私も機会があれば積極的に取り組んでみたいと思いますので、興味のある方はお声掛け下さい。

HRW土井香苗さんとTwitter

July 23, 2009 10:43 PM

2007_DRC_Report.jpg

国をリードする人物たちに直接働きかけて、世界を変えて行くHuman Rights Watch。一般的な慈善団体とは違い直接的な物資や金銭的な援助ではなく、政治家や大企業のトップ等、社会的な地位を持つ人間に直接アプローチし、世界各地の様々な人権侵害問題を長期的に正そうとする組織です。その日本代表を務める土井香苗さんが昨日FICCを訪問してくれました。WEBはHRWのコーズの為に何が出来るのか?どのような仕組みがあればアウェアネスを高め、活動を活性化できるのか?技術的なお話しから、公開するべきコンテンツ(一般人が取れる具体的なアクションや、参加者のテスティモニアル)、活用すべきチャネル、ブログプロモーション、等々。色々なアイディアが出ましたが、まず今日実行されたのがTwitterでの情報配信でした。

最初はHRWのニュースを配信するbotを中心に展開する予定だったのですが、彼女自身がかなり面白い方なので個人のアカウントでやるようにお勧めしました。ご友人の勝間和代さんの紹介等もあり、数時間で250人以上のフォロワーが集まり、今ではHRWの活動情報や講演の告知等も行われています。面白い人が数人の知人と繋がり、瞬時にメディア化してしまうTwitterはやはり革命的なコミュニケーションツールですね。彼女の活動に(そして不思議な魅力に)興味がある方は是非フォローしてみて下さい。

土井 香苗 (kanaedoi) on Twitter
Human Rights Watch Japan
土井 香苗 Wikipedia

HT-03Aにインストールした11+@のAndroidアプリ

July 19, 2009 11:55 PM

f08b321f-26fd-40ef-9e64-b8876b9dd226.jpg
HT-03Aを購入して一週間。便利な点はたくさんありますが、ちょっと不便に感じてしまう点もあります。(この前はNだったので、主にiモード見れないとか...)最大の特徴はマルチタスクですが、そんなにメモリに余裕がある訳ではありません。むしろ、デスクトップにwidgetを貼れることが一番のメリットだと感じました。iPhoneと比べると少しタッチスクリーンのレスポンスが悪かったり、フリーズすることが多かったりします。

でもこのケータイにして、確実に接触する情報量は増えました。私にスマートフォンが本当に「必要」なのかはわかりませんが、使ってしまうとスマートフォン中心の情報ネットワーク(受信、発信、共有)が出来上がってしまうので、絶対元には戻れないと思います。

この一週間でインストールした(&使い続けた)アプリを紹介します。

1. twitgit lite
デスクトップに最新のmentionsをwidgetで表示できるTwitterクライアント。閲覧用としてはこれで十分だと思います。

2. Twitdroid
より充実したTwitterクライアント。

3. Sticky Memo Widget
これが本当に便利です。デスクトップの空き領域に合わせて様々なサイズのメモ帳を貼り付けることができます。デスクトップに書き留めておけば忘れる事はありませんね。

4. NewsRob
Googleリーダーと連動するアプリ。今のところ公式アプリはなく、ブラウザよりは断然使いやすいのでこれを使っています。アプリ内でHTMLを閲覧したり、shareもできるのでとても便利です。

5. Task Manager
ANDROIDの最大の特徴はマルチタスクですが、たくさんのアプリが開きっぱなしだとちょっとキツいです。このアプリは常駐のタスクマネージャーで常にリソースや開いているアプリの管理ができます。

6. Toggle Settings
バックライト、無線LAN、着信音、スリープなど、ハードの設定を簡単に調整できます。

7. Simeji
フリック入力が可能になります。でもインストールすると「これ、キーロガー?」と思わせるような警告も...

8. Qik
Ustreamのような映像中継が出来ます。

9. mAnalytics
簡易的なAnalyticsビューアーです。サイトのパフォーマンスがすぐわかる、嬉しいツールです。

10. QRコードスキャナー
これで、なんとかモバイル系のキャンペーンなど追えます。必須ですね。

11. Beelicious
Android ブラウザからdeliciousにポストできます。

その他、あまり使っていませんが、残してあるアプリです。

12. Google Sky Map
ARで向けた方向にある星がプラネタリウムのように見えます。どこか星の見える場所で試してみたいものです。

13. Metal Detector
コンパスの磁石を使っているのでしょうか?金属探知器です。使う事はなさそうですが、面白いので、アンインストールしてません。

14. Steel
ブラウザです。デフォルトのブラウザのほうが軽い気がするのであまり使っていませんが、ユーザーエージェントをiPhoneに設定できるので使う機会はあると思います。

NPS:ネットプロモータースコア

July 15, 2009 10:49 AM

企業はプロモーションや広告活動の中でその正当性を判断するために様々な数字を追わなければいけません。個別の活動に対する費用対効果を測定し、リスクを抑え、リターンを最大化する必要があるのです。しかし、多くの数字の分析はあまりに複雑であり、断片的な情報提供で結論を変えることも可能です。数字の分析を専門家に頼ってしまうと、本当の効果や課題を知ることはなかなかできません。

そこで、できるだけシンプルな一つの指針が必要になります。NPSとは顧客ロイヤリティを一つの「究極の質問」で計り、管理するツールです。顧客に対し、10段階で「この商品を他人に勧める可能性」を聞くだけです(10は絶対に薦める、5はどちらでもない、3は薦めたくない、1は絶対薦めない)。「支持する」、「支持しない」というさまざまな要因に左右されやすい曖昧な質問ではなく、消費者自身も「他者への推薦」というテーマで測りにかけられる為、より正確な返答が期待できます。8-10と答えた人を「推薦者」、5-7を「中立者」、1-4を「批判者」とします。(Wikipediaでは9-10を「推薦者」、7-8を「中立者」、0-6を「批判者」としています)回答を比率化し、推薦者から批判者を減算した数値を継続的に追っていく事で、ブランドや商品に対する顧客の満足度の推移を知ることができます。

推薦者達が実際に他人に商品を薦めるかどうかなど、批判もある手法ですが。NPSは口コミを推進するためのツールではなく、あくまでブランドや商品を推薦するほど支持してくれる顧客がどれだけいるかを測定する方法です。また、推薦者を割り出すことはCRMにもとても重要です。NPSの測定を継続的に行うことで、正しいポジションを把握できるばかりか、プロモーションや広告活動も正しい方向に向いて行くとも思います。WEBを活用すればNPSを継続的に測定する事は決して難しい事ではありません。(レポーティングまで簡単に自動化できるでしょう)様々な成果指標の中にNPSの向上を加えてみては如何でしょうか?

2 3 NEXT ≫
ABOUT

FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

ARCHIVES

May 2010 [2] / March 2010 [2] / February 2010 [4] / January 2010 [2] / December 2009 [3] / November 2009 [3] / October 2009 [5] / September 2009 [6] / August 2009 [2] / July 2009 [14] / June 2009 [5] / May 2009 [8] / April 2009 [8] / March 2009 [10] / February 2009 [4] / January 2009 [5] / December 2008 [8] / November 2008 [10] / October 2008 [12] / September 2008 [6] / August 2008 [7] / July 2008 [2] / June 2008 [2] / May 2008 [3] / April 2008 [9] / March 2008 [3] / February 2008 [5] / January 2008 [2] / December 2007 [1] / November 2007 [6] / October 2007 [8] / September 2007 [3] /