July 2009 | September 2009

ラグジュアリーブランドのWEBサイト

August 25, 2009 7:23 AM

ラグジュアリーファッションは最もWEBへの対応が遅れた業界の一つであり、金融危機の影響を直接受けました。マスメディア(主に雑誌)への依存が激しく、その影響力の低下と共に業界全体が大きく衰退し始めています。WEBへの対応が遅れた理由の一つとしてラグジュアリーブランドが機能的なベネフィットを直接的に消費者へ訴えてこなかったことが考えられます。ブランドから発信される情報はすべて情緒的なもの。機能は雑誌を通じて伝えられてきました。しかし、その情緒的なコミュニケーションもインターネット上のチャネル(検索エンジンやCGMなど)を活用できず、積極的にブランド情報を求めるユーザーのみに発信されています。例としてルイヴィトンのWEBサイトは「ルイヴィトン バッグ」と検索しても出てきません。構造上の問題から、二言以上の検索にヒットさせることができないのです。この状況は並行輸入業者とアフィリエイターにとっては恰好のビジネスチャンスになっています。二語以上のルイヴィトンに関するキーワードは取り放題なので、誰もがアフィリエイトのブログ記事を通じて「こっちのほうがお得!」と宣伝しているのです。

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「ルイヴィトン バッグ」Yahoo検索
「ルイヴィトン バッグ」Google検索
「ルイヴィトン」Googleブログ検索

このような状況が続くと、ブランドはどうなるのでしょうか?消費者の情報源はコントロールされたマスメディアから、お互いが情報源となるWEBへと世代交代とともにシフトし始めています。若い世代は情緒的なブランドアイデンティティに接する事はなく、WEBに溢れる「より安いオルタナティブ」(並行輸入)の情報ばかりを見てしまいます。彼らにとって、ラグジュアリーブランドとは情緒的なアピールも、機能的なベネフィットも、何の価値も無いものになっていくのです。これを裏付けるように「ルイヴィトン」の検索は毎年下がっています。その需要はもはや2003年当時の半分にまで落ち込んでしまいました。

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「ルイヴィトン」GoogleTrends

他のラグジュアリーブランドに比べ、ルイヴィトンのWEBサイトのコンテンツは比較的しっかりしています。ブランディングを重視するコンテンツや、顧客の心をつかむためのコンテンツもあります。しかし、一般的にはシーズンイメージや商品写真だけを紹介しているカタログ的なファッションブランドのサイトがほとんどです。これらのサイトは長期的なビジョンで構築されることはなく、毎シーズン作り直されます。これでは消費者にリーチしてブランドに好感をもってもらうコミュニケーションを確立する事はできません。

■anteprima.com

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この問題点に取り組むために本日アンテプリマのサイトをリニューアルしました。アンテプリマも昨日まではフルFLASHのカタログ的なサイトであり、極めて限定的なオーディエンスにイメージのコミュニケーションだけを行ってきました。今回のリニューアルではできるだけ多くの情報を網羅し、WEBサイトにしっかりとしたストラクチャーを与えています。文字の情報量はリニューアル前の500倍ほど。ページ数は1000を超えています。消費者の検索ニーズに応えると共に、ブランドがより多くの情報を発信できるプラットフォームを用意する事、消費者との接触機会を最大化する事が主な目的でした。今後の課題としてはブランドアイデンティティを明文化し、CGMへと拡散させるコミュニケーション戦略などが残っていますが、一先ず、消費者とのダイレクトなコミュニケーションチャネルは確率できたと思います。

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anteprima.com

Twitterに考えさせられること

August 17, 2009 1:34 PM

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無意味な発言の集合体。不完全なメディア。社会に何も貢献していない。にも関わらず熱狂的なユーザーを獲得し続けているTwitterには最近いろいろと考えさせられることがあります。Twitterの登場による情報伝達の高速化、断片化、編集作業の不要化、そしてリアルタイムの楽しさ。WEBは従来のメディアに更なる打撃を与えるのか?そして情報コンテンツはWEBというプラットフォームでどのように変わっていくのか?Twitterはただの一時的なブームではなくコミュニケーションを変化させる歴史上のマイルストーンなのかもしれません。

まずTwitterに関心した事は障害(バリア)の無さでした。技術的にも精神的にもなんの抵抗も無く情報を発信し、他人との繋がりを作る事ができます。プライベートでも無く、完全にオープンでも無く、メッセージは確実に届くけど、そこまで重要ではない。あらゆるコミュニケーションの煩わしさを上手に取っ払ったプラットフォームだと思います。会話のようなコミュニケーションをそのままの形で乗っける事が出来るのですから、40.55%が無意味なお喋りでも驚くことでは無いと思います。誰でも喋っている内容はそんなものではないでしょうか。

最初は、そんなゆるくて断片的なコミュニケーションがスタイルとして今のユーザーに受け入れられたのだと思いました。しかし、自分で使ってみると情報の断片化は単なる結果であって、Twitterの本当の価値はそのバリアフリーな設計から来るコミュニケーションの高速化だと気付きました。

コミュニケーションの高速化
雑誌の編集は時間がかかります。今、現在もたくさんの優秀な方々が雑誌を編集していることでしょう。ブログの編集は人にもよりますが、大体1時間くらいだと思います。Twitterには編集が全く必要ありません。編集が不要となることで情報の流れは格段に高速化します。もちろん消費者もより早く、旬な情報を手に入れたいためWEBへとシフトします。その結果、スピードに付いていけない情報メディアは価値を失い、衰退していきます。ブログに代表されるCGMは印刷メディアに大きな打撃を与えました。情報に対する消費者の価値観が編集や質からスピードへとシフトしたようにも思えます。

すべての話題を網羅する
編集作業が無くなる(軽減される)事で伝達のスピードが速まるだけでなく、より多くの人が情報を発信し始めます。また、情報発信に対する障害が低ければ低いほど、小さな話題も発信されるようになります。ブログを書く事が少し面倒に感じてしまう話題でもTwitterであれば楽に発信できます。本来は伝える必要の無い情報まで伝えてしまうのです。結果、情報は高速化するだけでなく多様化もします。

所詮「人」と「人」とのコミュニケーション
Twitterのもう一つの魅力は「人」という軸があることでしょう。Twitterは「人」のネットワークであり、ほしい情報をプルしてリアルな人間関係に近いものを作ることができます。適切な距離感もあり、信頼関係がなければ情報は共有されない。Botがひたすらフォローを繰り返してフォロワーを増やすという点を除けば、プッシュ的な要素を排除した理想的なコミュニケーションプラットフォームの設計だと思います。そしてその中で重視されるのも「人」。人間関係を補完するシステムなので、組織や企業ではなく、個人と個人のリアルな発言が力を発揮するのだと思います。

Twitterには個人が発信する様々な情報を集約できるサードパーティーアプリケーションが存在します。ブログ記事、ブックマーク、写真、位置、閲覧(視聴)履歴、自分に関係する情報を簡単に公開できるのです。タイムラインにはそこまで重要じゃなくても確実に人に届けたい様々な生活シーンの情報がWEBやスマートフォンを通じて流れ続けます。気楽に、簡単に人とつながり続けられる欲求を満たしてくれるのがTwitterなのかもしれません。

Real Time WEBの可能性
では本題です。Twitterから何を学ぶべきなのでしょうか?正直、今すぐTwitterをWEBの企画に含める必要はそこまで無いように感じます。しかし、今後の情報コンテンツの在り方について、考える必要はあるでしょう。

2003年にNissan等の企業がブログを立ち上げた時にもコンテンツの在り方について随分考えさせられました。当時も新しい手法に色々と批判はありましたが、企業が個人の語り口調で情報を発信して何が悪いのか?そこに気づいた事で企業のWEBからの情報発信の形は大きく変わったと思います。Twitterの登場で編集という作業を捨て、個人の視点から消費者に直接語りかける事のメリットがより明らかになるのだと思います。私たちの仕事はプラットフォームの設計やコンテンツプロデュースを通じて、リアルタイムなWEBコンテンツをいかに経済活動に役立てていくか、という事ではないでしょうか?

同時に、Twitterは一つのプラットフォームでしかないため、ユーザー層に偏りが生まれたり、飽きられてしまう可能性すらあります。リアルタイムなWEBという考え方にはまだまだたくさんの可能性があり、色々な形が模索される必要があります。この分野はTwitterに独占されることなく、色々な方向やユーザー層へと広がっていくべきなのです。秋にはデジタルガレージさんから公式ケータイサイトが出るようですが、この手のコミュニケーションを爆発的に広める事が出来るのはサイバーエージェントさんだと思います。アメーバブログとの差別化も重要ですが、インフルエンサーを一気に投入して、Twitterに対抗するプラットフォームを是非作ってほしいと思います。

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ABOUT

FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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