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ただ「広告を買う」という考え方は捨てよ

October 29, 2009 5:38 PM

マスメディア(特にテレビ)の広告効果は言うまでもなく絶大なものです。何千万という消費者にリーチし、話題を生み、需要を喚起する。しかし最近はそんな広告の効果が減ってきたとよく耳にします。不況とともに費用対効果が追及され、広告収入は激減し、媒体は減り、多くのメディア事業はそのビジネスモデルの見直しさえ迫られるようになりました。媒体にも広告主にも妥協の許されない状況の中、私たちは消費者との接触のためにただ「広告を買う」という考え方を捨てる必要があります。

・インターネットが広告から奪ったもの
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以前は広告こそが企業が消費者と接触するための唯一の手段でした。そして同じく消費者にとっても広告は企業と接触できる数少ない方法の一つでした。しかし、インターネットの普及により、コミュニケーションチャネルは急激に多様化し、消費者は様々な方法で企業の情報を取得できるようになります。お互いの情報共有やダイレクトなチャネルを通じて何でも「知る」事が出来るようになったのです。インターネットは広告の独占的な立場を壊し、消費者との密接なつながりを奪ってしまったのです。

・多様化するコンタクトポイント
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インターネットの普及により、消費者とのコンタクトポイントは急激に増加しました。世界でもトップレベルのインターネットインフラ(※総務省:日本のICTインフラに関する国際比較評価レポート参照)が整備され、ユーザーの増加と共に誰もが簡単にメディア事業に参入できるようになりました。個人のブログまでもが広告媒体となって行き、消費者とのコンタクトポイントは一握りの巨大メディア企業から、数千のWebメディア、数百万のブログ、数千万のSNSアカウントへと増えて行きます。(※総務省:ブログ・SNSの経済効果の推計)個別に検索連動広告を表示させる検索クエリは年間80億回にまで増加し、広告はマスだけにではなく、「個」にも多く配信されるようになりました。(※Japan Search Engine Rankings - Comscore

・他メディアを圧迫するインターネット利用時間
コンタクトポイントが急激に増加したことで、インターネットはより多くの消費者の時間を占めるようになりました。現在は全年齢層のメディア接触時間の26.4%を占め、20代男性ではテレビが38%に対し48%の接触時間を記録しています。ニュースや映像などのマスメディアのコンテンツがインターネットへと流出し、消費者をマスメディアの物理的な制限から解放した事から消費者は徐々にインターネットへとシフトしているのかもしれません。(※博報堂メディア定点リサーチ2009

・「インターネット広告」という幻想
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ではシフトした消費者をインターネット広告でキャッチすれば良いのか?という訳には行きません。一つのテレビ番組には時には数千万という消費者の集中が発生し、定期的に(ほぼ強制的に)映像と音で広告と接触します。しかしインターネットでは広告との接触が消費者に委ねられ、強制的に接触して来るものと言えば精々バナーのインプレッション程度です。そしてインターネットで広告が効果を発揮しない最大の理由はそのコンタクトポイントの多さにあります。インターネット上では消費者は無数の小さな集団に四散し、広告が一度で多くのユーザーにリーチすることを不可能にしています。

・ターゲティングと接触機会の最大活用
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インターネットを活用するためにはその限定的なリーチを伸ばすのではなく、最適化する必要があります。まずは検索やターゲティング広告から潜在顧客を割り出し、購買に転換する可能性が高い消費者だけに語りかけます。そして、リピート接触のために個人情報を取得し、積極的に消費者からの自主的な情報発信を促します。一つ一つの接触を見込みのある潜在顧客だけと行い、その接触から最大限のメリットを得る必要があります。

・何故消費者からの情報発信が重要か
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消費者のインターネット上の自主的な情報発信(クチコミ)はその信頼性から購買動機に多くの影響力を発揮するだけでなく、その利便性から消費者の情報収集のスタイルまでも変えてしまいました。ブログが一般に普及する以前は情報が編集されたメディアに掲載されるため、一般に広まるまでに時間が掛かりました。しかも掲載される内容を編集者が決めることにより、消費者が接触する情報をコントロールすることが出来ました。しかしブログなどのソーシャルメディアの普及により、情報が拡散する時間が大幅に短縮され、消費者が接触する情報の選別はメディアの独占的な編集から解放されました。今ではiPhoneやTwitterの普及により、情報のスピードは更に加速し、クチコミの影響を受けやすいビジネスなどに大きな影響を及ぼしています。

「Twitter 効果」にハリウッドは戦々恐々
Twitter Effect rattles Hollywood

・クロスメディアという新たな広告の役割
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では、広告はその役割を失うのでしょうか?そんな事もありません。ただ、商品を告知するという役割の一部や、リピート購入を促すリマインダーとしての役割の一部がより費用対効果の高い手法へとシフトするのです。流行も主にソーシャルメディア上の消費者自身の声から実感するようになりました。マス広告は単にリーチをするという役割から、より深いコミュニケーションへと消費者を誘導するツールへと進化する必要があるのです。多くの消費者と接触し、興味を起こし、消費者に自主的にメディアを渡らせて企業とのダイレクトなコミュニケーションを確立するという新たな目的のために広告は設計されて行きます。

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今、企業が消費者と効果的に接触するためには検索エンジンからのターゲティングされた集客、魅力を第三者の情報発信を通じて消費者に伝えるバズマーケティング/WEBPR、企業から消費者へのダイレクトなアプローチを可能にし、ロイヤリティを向上させるE-CRM、そしてそれらの施策を十分に機能させるクロスメディア広告が必要です。現時点ではこのような施策への完全な移行はクリティカルではありません。しかし、消費者の情報源は今後も確実にインターネットへとシフトし、世代交代と共にこれらの施策は企業のマーケティングの中核となって行くでしょう。

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FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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