CGAからソーシャルメディアプレゼンスの時代へ | 2010、売れるために

グランズウェル:雑感

January 1, 2010 10:57 AM

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散々人に勧めておきながら、いまさら読み終えました。確かに話題になるだけあって色々と気付かせられる本でした。ソーシャルメディアという大きなテーマを中心に色々なトピックをカバーするのでコメントもかなりランダムになりますが、雑感を記事にしておきます。

ソーシャルメディアを通じたマーケティングリサーチ
少し前からサイトの企画をまとめる前にリサーチは行っていますが、その重要性を再認識できました。市場調査ではバイアスが取り除けず、本当のインサイトを得ることは出来ません。しかし、ソーシャルメディアの積極的な活用が一般化した事により、インターネットには見える形で消費者の本音が溢れています。ソーシャルメディアの活用は今後、企業のマーケティング活動の要になるでしょう。また、消費者とエンゲージする事でより詳細なインサイトを直接得る事が可能となり、企業のイノベーションが加速するという点は興味深いです。企業は必ず何らかの形で市場を知り、商品やサービスを開発し、競合より速いイノベーションを求めます。そのために膨大な費用をかける割には消費者との直接的な対話を恐れ、急速な変革には抵抗があります。その矛盾には「競合のリテラシーの低さから来る安心感」のようなものがあるかも知れませんが、このような本が一年も前から話題になっている時点で安心している場合ではないでしょう。この本に書いてある通り、「イノベーションを通じて一流を目指す」という仕事は誰もが意識しなければいけない事だと思いました。

ベンチマークを探している場合ではない
この本にはたくさんの海外での成功事例が記載されています。もちろんその幾つかはそれらの企業により日本へと転用されていますが、大半は失敗に終わっているようです。グローバル企業が本国で消費者とエンゲージし、製品やサービス、そのプロモーション方法まで改善したにも関わらず、それを各国のローカルマーケットに落とし込めてはいないのです。消費者がソーシャルメディアに求める事を調査し、対話の場を提供する事をグローバルな戦略として推進する事は素晴らしい事ですが、各国の手法はその国々の調査結果やソーシャルメディアの特性を基に個別に立案しなければいけません。どのようなグローバルなソリューションにもローカルなスキームが必要なのです。成功事例もまだ少なく、各企業が消費者との関わり方を模索している中、他社の活動をベンチマークしている場合ではありません。まずは自社とその消費者を取り巻く状況を調査するべきでしょう。バイアスの多い市場調査や単なるアイディアをベースにした広告やPRへの高額な投資を続ける前に、消費者とのコミュニケーションを見直しましょう。

消費者と企業の境目が無い新たな経営ビジョン
グランズウェルで最も面白いと思ったのが将来的な企業の在り方に対するビジョンでした。そこにはメディアという企業と消費者の境目になるようなものは無く、直接的な対話から需要と供給が最適化される消費経済のエコシステム(生態系)が提示されていました。マーケターにとっては脅威でもあり、理想でもあるようなシステムです。今までは「消費者のニーズを読み取る」というスキルが必要とされてきた一方で、今後は「消費者と正しく対話する」スキルが求められていくのでしょう。私の中でマーケターという職業自体をを再定義されてしまいました。

その他にもキャンペーンやECサイトのコンバージョン率アップに役立てられるたくさんのティップス、CGAの新しい利用価値を感じさせる内容や、日本国内で展開可能な新たなサービスのヒントなど、たくさんの知識が詰まっていました。WEBやソーシャルメディアに関連する人だけでなく、マーケティング、広報、経営者の方々にも(英語版もあるので外国人経営者の方々も!)是非読んで頂きたい一冊です。

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FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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