何故今、マーケティング的思考が重視されるのか | ANTEPRIMA Fall-Winter 2010-11 Collection

ブランドの崩壊

February 26, 2010 1:51 AM

私たちの中でブランドとはどのような意味を持つのでしょうか?ブランドとは提供される商品やサービスの品質に対する信頼。企業が消費者に「約束」する価値です。消費者は詳細な情報を持たなくてもブランドを通じて安心して商品を購入する事ができます。そして、ブランドは対外的な差別化や同調を通じて、購入者に精神的な充足感を与えます。

消費者が得られる情報が限られたメディアによって独占されていた時代、ブランドは消費者の購買意思決定に絶大な力を発揮していました。消費者が信頼する物はブランドであり、自身を表現、差別化する方法でもありました。

しかし、消費者はインターネットを通じてネットワーク化し、情報の共有を通じてお互いの購買意識に影響を及ぼすようになりました。そして、今まで消費者と接触できなかったマイナーな商品やサービスが現れ、その数も爆発的に増加しました。消費者のネットワーク化とロングテールを通じて、ブランドはその独占的な立場を奪われ、大きな打撃を受けました。

消費者はお互いが本当に支持しているものを自分で知ることが出来るようになり、購買に対する意思決定プロセスが変化しました。自身が価値を感じ、意識しているブランドで無くても、容易に他の消費者の意見と接触できるようになったのです。そして、情緒的なメリットは言葉にしにくく、文字では伝わりにくいため、商品やサービスに対する消費者の意見は機能的な内容に集中します。お互いの意見を指標とする消費者はブランドでは無く、汎用的な商品カテゴリー全体の情報から機能ベネフィットを重視して購買意思決定を行うようになってしまったのです。

そしてブランドが提供する精神的な充足感に対する意識も変わりつつあります。消費者は自身の差別化に対し、いかに得た情報を基に購買を行っているかを重視し始めました。ブランドは誰でもが知っているからこそ、情報を持った消費者の差別化には無用となりつつあるのです。

ブランドはメディアを通じた盲目な消費者に対する情緒的な約束事ではなく、消費者自身が明確なメリットを感じ、表現・共感しやすい機能ベネフィットの提供へとシフトしています。消費者の一般的な検索の傾向として、特定のブランドに対する検索は低下し、汎用的な商品カテゴリー自体の検索が増加しているのです。情報の増加に伴い、購買意思決定に不要となりつつあるブランド。その存続には消費者に対する約束と、求められるベネフィットに対する根本的な見直しが必要とされています。

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FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

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