| CRM

ARで勝つには何が必要なのか?

July 7, 2009 10:52 PM

オランダのLayar、オーストリアのWikitude、そして日本のセカイカメラ。たくさんのARアプリケーションが間もなく一般公開されます(一部海外ではされてるのかな?)。今週はFICCのスタッフがARCommonsのお手伝いをさせていただいているので、この分野の発展がとても気になっています。もちろん現段階ではまだ商用利用には程遠い気がしますが、急速にインフラが整備される可能性もあります。ARはWEBと違い、誕生当初から様々なツールやユーザーの高いリテラシーによって猛スピードで構築されて行くのです。WEBから表示できるコンテンツもたくさんありますし、開発資金の調達も他のWEBサービスなどに比べると容易でしょう。企業の経済活動にとって不可欠な要素になる日もそう遠くないかも知れません。

では、商用的な利用を一般化させるにはどのようなハードルがあるのでしょうか?まずは規格・言語の統一、そして特定のブラウザの普及が必要です。なんらかのフォーマットの標準化がなければ、コンテンツやサービスを作るための投資リスク大きすぎます。最初に1,000万ユーザーを確保するのがどのアプリになるのかが気になりますね。(この点ではiPhoneをプラットフォームとしているセカイカメラは有利です。)次に、公式コンテンツと一般コメントを上手く分ける方法が必要です。現時点ではAR空間内には(Youtubeなどで見ているだけですが)一般ユーザーのタグやコメント、そして既存のWebサービスのコンテンツ(AmazonやWikipedia)しかありません。公式情報を差別化するデザインや演出が可能になるまでは相当時間がかかるとおもいますが、ARは実際誰かに所有される空間に情報を関連付ける事ができるので、なんらかの管理団体(地図上の情報を管理する等)が早急に必要になるでしょう。そして最後に広告モデルの確立が必要になります。コンテンツ(エリア)マッチングなのか、iコンシェルのようなものなのか?それは作られるプラットフォーム次第で様々なものが考えられると思います。

ステップを分けて考えてみると、スタートアップには実現がかなり難しく、始まる前からハードルだらけのレースのように感じてしまいます。実現可能なのはGoogleくらいで、彼らに買われるARアプリの勝ち、という事になるのでしょうか?そう考えるとプラットフォームをAndroidだけに絞り、「世界初のARブラウザ」と言っているLayarは既に一歩先を行っているのかもしれません。どのブラウザがいち早く「標準」の地位を獲得するのか?今年の夏はARアプリケーションから目が離せません。

AR Commons

July 3, 2009 9:49 AM

sekai.jpg

2週間ほど前にある大学教授の方からセカイカメラを開発した井口尊仁さんをご紹介いただきました。その時点で私にはあまり拡張現実についての知識が無く、せいぜい商用利用についてのアイディアや企画を求められているのかと思っていました。お話ししてから話の規模を理解するまでに一時間ほどかかりましたが、セカイカメラSixth Sense、PTAMの登場で世の中がどのように変わるのか、または変わってしまうのかを認識することができました。

WEBの誕生によってメディアに独占されていた情報が開放され、消費者は検索さえできれば様々な情報に接触する事が出来るようになりました。しかし、これがカメラをかざすだけで見れるようになってしまったら...拡張現実が当たり前な技術、そして社会インフラになる前に考えるべき事はたくさんあります。

そこで拡張現実(AR)空間の公共圏としての定義を示し、起こりうる問題の予測、新しい経済の仕組みなどを創出するためにAR Commonsが発足しました。7月10日には慶應義塾大学三田キャンパスにてキックオフ・シンポジウムも開催されます。

logo_title.jpg
AR Commons Blog

自分がWEBの仕事をしている人間であること、そしてARについて話すだけの知識や言葉が乏しい事から、あまりうまく説明はできないかもしれません。(ARとWEBを比較して考えてしまうとまるでマスメディアとWEBの比較のような表現になってしまいます...)私が考えることはやはり主に商用利用です。どのようなプラットフォームがあれば、企業に利用されやすくなるか?どんな問題が出てくるか?大半のブランドはCGMに手を出す時にネガティブな口コミを恐れます。自社のサイトにネガティブな事が書かれて間違った対応で炎上でもしたら...など。ARはそれ以上に恐いかもしれません。でもいずれ手を出さなければいけないモノにもなると思います。

思いつく問題点としてはAR空間が生まれて間もなく、コンテンツも何も無いのに、WEBによって進化したツールとエンドユーザーの高いリテラシーによってアクセスされるという事です。コメントとコンテンツの境界線は無く、セカイカメラの公開時には一斉に一つのプラットフォームで投稿が開始されます。ARは幾つもの次元をチャネルに分けて重ねる事が可能なので(異なるWEBサービスのようなイメージ)、何をどうやって管理していくのか?そもそも私有の空間のAR空間は公共という考えで良いのか?(今後、エアタグを禁止する標識なんかも商用施設に登場するかもしれません。)また、公式情報をリリースするための有料モデル、ブラウザの共通フォーマット、W3Cのような機関も必要になってくるでしょう。

一つのトピックに対して少し考えただけで大変な問題が山積みですが、技術は待ってくれません。セカイカメラは今月末に公開されます。

1
ABOUT

FICC inc. 代表取締役社長 荻野英希。国内外でのデザイナー、アートディレクターとしての勤務を経て、2004年にFICCを設立。外資系ブランドのWEBコンテンツの企画、制作、運営、マーケティングから戦略的なプロモーションまで、総合的なプロデュースを手がける。

ARCHIVES

October 2009 [4] / September 2009 [6] / August 2009 [2] / July 2009 [14] / June 2009 [5] / May 2009 [8] / April 2009 [8] / March 2009 [10] / February 2009 [4] / January 2009 [5] / December 2008 [8] / November 2008 [10] / October 2008 [12] / September 2008 [6] / August 2008 [7] / July 2008 [2] / June 2008 [2] / May 2008 [3] / April 2008 [9] / March 2008 [3] / February 2008 [5] / January 2008 [2] / December 2007 [1] / November 2007 [6] / October 2007 [8] / September 2007 [3] /

WEB DESIGN WORKSHOP 「正しいウェブデザイン」

デザイナーに向けたWEB雑誌、『WEB+DESIGN STAGE』にて、『WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」』を掲載執筆中。戦略的なウェブプロモーションのプロセスを紹介します。